
(1) はじめに
以前に作った八木アンテナのブームだけが残っていたのを利用して、12エレのダブルバズーカを作ることにしました。このブームはφ8、長さ49cmのステンレスパイプ4本を繋ぐもので、全長約190cmです。
MMANAというソフトで、エレメント配置を計算しようとしましたが、ソフトの内容も使い方も理解していないので当然ではありますが、ダブルバズーカの定義の仕方が解りません。 ま いいや と 単純なダイポールの放射器をMMANAに入力して計算しました。
全長190cmのブームに12本のエレメントをイイカゲンに配置して計算してみると、利得は10dBi程度となりました。市販の12エレ八木アンテナの利得は15 dBi程度です。以前聞いた話に「八木アンテナの利得はブームが長いほど良い」というのがありました。 移動用にはブームが短い方が良いですが、利得が小さいのはくやしいです。エレメントの間隔を広げた再計算を行い、ブーム長230cmでSWR1.0 利得15dBi程度のエレメント配置がみつかりました。パイプを追加してブームを伸ばし、作って見ることにしました。
(2)まあ作ってみました
MMANAの計算結果でエレメントを配置した後に、Re、D1,D2の配置を少し変える事で、SWRは1.1に下がりました。この調整はかなり微妙で、エレメント間隔が5mmほど違うと SWRは2以上に上がりました。できあがりのエレメント配置は下図の様でした。(MNANAで作成されるエレメント配置図に、レタッチソフトで寸法を書き込んでみました。)

放射器は、6エレ、9エレと同じですので、以前の記事をご参照下さい。やはりブーム側に取り付けた“受け”に差し込む様にしました。反射器及び放射器エレメントはφ4アルミパイプで作成し、ブームに取り付けた長さ20mm、φ5黄銅パイプに挿入します。尚、φ5黄銅パイプは肉厚0.5mmで、内径はφ4ですが、φ4アルミパイプをスムーズに差し込める様に、まずφ4.1のドリルで、次にφ4.2のドリルで中グリを行いました。この中グリの際にはかなりの発熱があり、冷却&潤滑用に水をかけながら行いました。(油よりも良く冷えて良い感じでした)初めはいきなりφ4.2のドリルでトライしたのですが、切削抵抗?が大きすぎてパイプがドリルに食いつき、中グリ出来ませんでした。
ブームは、φ8のステンレスパイプの5本つなぎで全長238cmになりました。さて、アンテナを組み立てると、ブームの前後端が自重で弓なりに大きく垂れ下がります。スタック用バーの支持部に竹棒を垂直に立て、竹棒の上端から左右のアンテナ前後端へ、DIYで購入して来た “道糸” を釣り橋のように張りました。 下の写真、黄色の道糸の 太さは約1.5mmです。

道糸の両端には短い竹棒をブームを縛りつけて、アンテナの前後端のブームのパイプに差し込みます。右側のスタック用バーの支持部に立てた竹棒の上端には鋸でスリ割りを入れて引っかけました。
アンテナ後端部、 スタックバー、竹棒の支持部 道糸
スタック用のバーはφ10のステンレスパイプで作り、スタック幅はえいやっと180cmにしました。(実は、φ10パイプの定尺が91cmで、それを2本使いましたので、、、)
下の写真 左は、スタック用バーとアンテナのブームとの連結部です。ブーム側もバー側も同じ穴あき板金具を使用し、ブーム側にはナットを半田付けして2本のM5ローレットねじを取り付け、バー側の穴あき板金具には(橙色の網目状の)滑り止めゴムシートを貼りました。短いパイプは前記の道糸を引っ掛ける竹棒を立てる為のものです。

上の写真右側は、写真用三脚への取り付け部として、スタック用バーの中央部に半田付けしたL形金具に、1/4W(インチねじ)のナットを半田付けしました。L型金具の板厚が3mmと厚いのに対し、三脚のネジの長さが4mm程度しか無いので、L型金具に1/4Wナットが入る六角形の穴をヤスリで加工し、ナットをその中に落とし込んで半田付けしました。 今回はアンテナが大きいので、念のためにポールにも取り付け出来るように、L型金具にUボルトとその受け金具を、ねじ3本で着脱可能に組み付けました。
スタック用のバーもアンテナのブームと長さを合わせて、最大長さ49cmに4分割し、連結可能にしました。上の写真では、右側から別のφ10ステンレスパイプを差し込み、連結します。連結は下の写真のブームの連結部と同じく、ヤスリで直径の半分まで削った黄銅パイプ同志の噛み合わせで回り止めしました。
下の写真のブームの連結部はφ8ステンレスパイプと、φ9肉厚0.5黄銅パイプの組み合わせですが、スタック用バーの連結部にはネジリの力も加わるのでφ10のステンレスパイプに、各々肉厚0.5のφ11とφ12の黄銅パイプを重ねて被せ(肉厚1mmの黄銅パイプが手元に無かったので)て 同様に処理しました。強度は、、、たぶん持ちそうです。

(3) 使用感
アンテナの先端が電界強度計にぶつかりそうな狭い室内で測定するのは不適当と思い‘08.07.27 近所の七国山(町田市内 標高128.6m ロケはあまり良くない)へ行き、交信してきました。写真用三脚に取り付けた、1.8mのスタック用バーの両端に今回の12エレダブルバズーカと、かなり以前に作った12エレループ八木(ブーム長2.5m)をそれぞれ取り付けて小一時間ほど運用し、6局からレポートを戴いたところで、雷鳴が聞こえ始めて逃げ帰りました。
下表は当局からの送信に対して戴いたR/Sレポートです。LOOPはループ八木、WBはダブルバズーカです。当局の受信レポートはLOOPとWBで差がありませんでした。

特定のロケーションで一回のみの運用で結論を出すのは早すぎますが、12エレのループ八木とダブルバズーカについては、 “まあ まあ 同じ くらい?” なのでしょう。尚、この場所では過去に3つの自作アンテナを比較して、“エレメント数が一番少ないアンテナが送受信とも一番良かった” という結果だった事があります。
(4) その他
(a)ブーム長2.3mでスタック幅1.8mは、ハイキング兼での運用には、シングル使用にしたとしても 移動運用可能な山頂は限られます。重量もスタックの状態(スタック用バーも含む)で950kgになりました。 “作ってはみたものの” です。
(b)MMANAというソフトを使わせて戴いて、なんとか組み立てる事が出来ました。前記の様に、単純なダイポールということにして計算したのですが、エレメント配置を僅かに変更しただけでSWRも下がり、たぶん、それなりの性能も出ている様です。
(c)φ8,φ10のステンレスパイプはいずれも以前 ¥100店で購入した残りですが、この頃は原材料不足とやらで売っていません。薄肉(たぶんt0.4くらい)で強度はありませんが、軽くてそして安価でアンテナ用には良い材料なのですが。¥100店でれに近い材料としては、鉄パイプに緑色のプラスチックを被せた 園芸用支柱 がありますが、強度は少し小さい様です。
以前に作った八木アンテナのブームだけが残っていたのを利用して、12エレのダブルバズーカを作ることにしました。このブームはφ8、長さ49cmのステンレスパイプ4本を繋ぐもので、全長約190cmです。
MMANAというソフトで、エレメント配置を計算しようとしましたが、ソフトの内容も使い方も理解していないので当然ではありますが、ダブルバズーカの定義の仕方が解りません。 ま いいや と 単純なダイポールの放射器をMMANAに入力して計算しました。
全長190cmのブームに12本のエレメントをイイカゲンに配置して計算してみると、利得は10dBi程度となりました。市販の12エレ八木アンテナの利得は15 dBi程度です。以前聞いた話に「八木アンテナの利得はブームが長いほど良い」というのがありました。 移動用にはブームが短い方が良いですが、利得が小さいのはくやしいです。エレメントの間隔を広げた再計算を行い、ブーム長230cmでSWR1.0 利得15dBi程度のエレメント配置がみつかりました。パイプを追加してブームを伸ばし、作って見ることにしました。
(2)まあ作ってみました
MMANAの計算結果でエレメントを配置した後に、Re、D1,D2の配置を少し変える事で、SWRは1.1に下がりました。この調整はかなり微妙で、エレメント間隔が5mmほど違うと SWRは2以上に上がりました。できあがりのエレメント配置は下図の様でした。(MNANAで作成されるエレメント配置図に、レタッチソフトで寸法を書き込んでみました。)

放射器は、6エレ、9エレと同じですので、以前の記事をご参照下さい。やはりブーム側に取り付けた“受け”に差し込む様にしました。反射器及び放射器エレメントはφ4アルミパイプで作成し、ブームに取り付けた長さ20mm、φ5黄銅パイプに挿入します。尚、φ5黄銅パイプは肉厚0.5mmで、内径はφ4ですが、φ4アルミパイプをスムーズに差し込める様に、まずφ4.1のドリルで、次にφ4.2のドリルで中グリを行いました。この中グリの際にはかなりの発熱があり、冷却&潤滑用に水をかけながら行いました。(油よりも良く冷えて良い感じでした)初めはいきなりφ4.2のドリルでトライしたのですが、切削抵抗?が大きすぎてパイプがドリルに食いつき、中グリ出来ませんでした。
ブームは、φ8のステンレスパイプの5本つなぎで全長238cmになりました。さて、アンテナを組み立てると、ブームの前後端が自重で弓なりに大きく垂れ下がります。スタック用バーの支持部に竹棒を垂直に立て、竹棒の上端から左右のアンテナ前後端へ、DIYで購入して来た “道糸” を釣り橋のように張りました。 下の写真、黄色の道糸の 太さは約1.5mmです。

道糸の両端には短い竹棒をブームを縛りつけて、アンテナの前後端のブームのパイプに差し込みます。右側のスタック用バーの支持部に立てた竹棒の上端には鋸でスリ割りを入れて引っかけました。

スタック用のバーはφ10のステンレスパイプで作り、スタック幅はえいやっと180cmにしました。(実は、φ10パイプの定尺が91cmで、それを2本使いましたので、、、)
下の写真 左は、スタック用バーとアンテナのブームとの連結部です。ブーム側もバー側も同じ穴あき板金具を使用し、ブーム側にはナットを半田付けして2本のM5ローレットねじを取り付け、バー側の穴あき板金具には(橙色の網目状の)滑り止めゴムシートを貼りました。短いパイプは前記の道糸を引っ掛ける竹棒を立てる為のものです。

上の写真右側は、写真用三脚への取り付け部として、スタック用バーの中央部に半田付けしたL形金具に、1/4W(インチねじ)のナットを半田付けしました。L型金具の板厚が3mmと厚いのに対し、三脚のネジの長さが4mm程度しか無いので、L型金具に1/4Wナットが入る六角形の穴をヤスリで加工し、ナットをその中に落とし込んで半田付けしました。 今回はアンテナが大きいので、念のためにポールにも取り付け出来るように、L型金具にUボルトとその受け金具を、ねじ3本で着脱可能に組み付けました。
スタック用のバーもアンテナのブームと長さを合わせて、最大長さ49cmに4分割し、連結可能にしました。上の写真では、右側から別のφ10ステンレスパイプを差し込み、連結します。連結は下の写真のブームの連結部と同じく、ヤスリで直径の半分まで削った黄銅パイプ同志の噛み合わせで回り止めしました。
下の写真のブームの連結部はφ8ステンレスパイプと、φ9肉厚0.5黄銅パイプの組み合わせですが、スタック用バーの連結部にはネジリの力も加わるのでφ10のステンレスパイプに、各々肉厚0.5のφ11とφ12の黄銅パイプを重ねて被せ(肉厚1mmの黄銅パイプが手元に無かったので)て 同様に処理しました。強度は、、、たぶん持ちそうです。

(3) 使用感
アンテナの先端が電界強度計にぶつかりそうな狭い室内で測定するのは不適当と思い‘08.07.27 近所の七国山(町田市内 標高128.6m ロケはあまり良くない)へ行き、交信してきました。写真用三脚に取り付けた、1.8mのスタック用バーの両端に今回の12エレダブルバズーカと、かなり以前に作った12エレループ八木(ブーム長2.5m)をそれぞれ取り付けて小一時間ほど運用し、6局からレポートを戴いたところで、雷鳴が聞こえ始めて逃げ帰りました。
下表は当局からの送信に対して戴いたR/Sレポートです。LOOPはループ八木、WBはダブルバズーカです。当局の受信レポートはLOOPとWBで差がありませんでした。

特定のロケーションで一回のみの運用で結論を出すのは早すぎますが、12エレのループ八木とダブルバズーカについては、 “まあ まあ 同じ くらい?” なのでしょう。尚、この場所では過去に3つの自作アンテナを比較して、“エレメント数が一番少ないアンテナが送受信とも一番良かった” という結果だった事があります。
(4) その他
(a)ブーム長2.3mでスタック幅1.8mは、ハイキング兼での運用には、シングル使用にしたとしても 移動運用可能な山頂は限られます。重量もスタックの状態(スタック用バーも含む)で950kgになりました。 “作ってはみたものの” です。
(b)MMANAというソフトを使わせて戴いて、なんとか組み立てる事が出来ました。前記の様に、単純なダイポールということにして計算したのですが、エレメント配置を僅かに変更しただけでSWRも下がり、たぶん、それなりの性能も出ている様です。
(c)φ8,φ10のステンレスパイプはいずれも以前 ¥100店で購入した残りですが、この頃は原材料不足とやらで売っていません。薄肉(たぶんt0.4くらい)で強度はありませんが、軽くてそして安価でアンテナ用には良い材料なのですが。¥100店でれに近い材料としては、鉄パイプに緑色のプラスチックを被せた 園芸用支柱 がありますが、強度は少し小さい様です。


