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アマチュア無線局 7M2MZO

430FMで低山ハイキングを兼ねた移動運用を楽しんでいます。

430MHz用 12エレダブルバズーカ

(1) はじめに
 以前に作った八木アンテナのブームだけが残っていたのを利用して、12エレのダブルバズーカを作ることにしました。このブームはφ8、長さ49cmのステンレスパイプ4本を繋ぐもので、全長約190cmです。

 MMANAというソフトで、エレメント配置を計算しようとしましたが、ソフトの内容も使い方も理解していないので当然ではありますが、ダブルバズーカの定義の仕方が解りません。 ま いいや と 単純なダイポールの放射器をMMANAに入力して計算しました。

 全長190cmのブームに12本のエレメントをイイカゲンに配置して計算してみると、利得は10dBi程度となりました。市販の12エレ八木アンテナの利得は15 dBi程度です。以前聞いた話に「八木アンテナの利得はブームが長いほど良い」というのがありました。 移動用にはブームが短い方が良いですが、利得が小さいのはくやしいです。エレメントの間隔を広げた再計算を行い、ブーム長230cmでSWR1.0 利得15dBi程度のエレメント配置がみつかりました。パイプを追加してブームを伸ばし、作って見ることにしました。

(2)まあ作ってみました
 MMANAの計算結果でエレメントを配置した後に、Re、D1,D2の配置を少し変える事で、SWRは1.1に下がりました。この調整はかなり微妙で、エレメント間隔が5mmほど違うと SWRは2以上に上がりました。できあがりのエレメント配置は下図の様でした。(MNANAで作成されるエレメント配置図に、レタッチソフトで寸法を書き込んでみました。)
12DW寸法
 放射器は、6エレ、9エレと同じですので、以前の記事をご参照下さい。やはりブーム側に取り付けた“受け”に差し込む様にしました。反射器及び放射器エレメントはφ4アルミパイプで作成し、ブームに取り付けた長さ20mm、φ5黄銅パイプに挿入します。尚、φ5黄銅パイプは肉厚0.5mmで、内径はφ4ですが、φ4アルミパイプをスムーズに差し込める様に、まずφ4.1のドリルで、次にφ4.2のドリルで中グリを行いました。この中グリの際にはかなりの発熱があり、冷却&潤滑用に水をかけながら行いました。(油よりも良く冷えて良い感じでした)初めはいきなりφ4.2のドリルでトライしたのですが、切削抵抗?が大きすぎてパイプがドリルに食いつき、中グリ出来ませんでした。

 ブームは、φ8のステンレスパイプの5本つなぎで全長238cmになりました。さて、アンテナを組み立てると、ブームの前後端が自重で弓なりに大きく垂れ下がります。スタック用バーの支持部に竹棒を垂直に立て、竹棒の上端から左右のアンテナ前後端へ、DIYで購入して来た “道糸” を釣り橋のように張りました。 下の写真、黄色の道糸の 太さは約1.5mmです。
つりば2し

 道糸の両端には短い竹棒をブームを縛りつけて、アンテナの前後端のブームのパイプに差し込みます。右側のスタック用バーの支持部に立てた竹棒の上端には鋸でスリ割りを入れて引っかけました。

糸処理2     アンテナ後端部、            スタックバー、竹棒の支持部         道糸  

 スタック用のバーはφ10のステンレスパイプで作り、スタック幅はえいやっと180cmにしました。(実は、φ10パイプの定尺が91cmで、それを2本使いましたので、、、)

 下の写真 左は、スタック用バーとアンテナのブームとの連結部です。ブーム側もバー側も同じ穴あき板金具を使用し、ブーム側にはナットを半田付けして2本のM5ローレットねじを取り付け、バー側の穴あき板金具には(橙色の網目状の)滑り止めゴムシートを貼りました。短いパイプは前記の道糸を引っ掛ける竹棒を立てる為のものです。
三脚スタック支持部
 上の写真右側は、写真用三脚への取り付け部として、スタック用バーの中央部に半田付けしたL形金具に、1/4W(インチねじ)のナットを半田付けしました。L型金具の板厚が3mmと厚いのに対し、三脚のネジの長さが4mm程度しか無いので、L型金具に1/4Wナットが入る六角形の穴をヤスリで加工し、ナットをその中に落とし込んで半田付けしました。     今回はアンテナが大きいので、念のためにポールにも取り付け出来るように、L型金具にUボルトとその受け金具を、ねじ3本で着脱可能に組み付けました。

 スタック用のバーもアンテナのブームと長さを合わせて、最大長さ49cmに4分割し、連結可能にしました。上の写真では、右側から別のφ10ステンレスパイプを差し込み、連結します。連結は下の写真のブームの連結部と同じく、ヤスリで直径の半分まで削った黄銅パイプ同志の噛み合わせで回り止めしました。

 下の写真のブームの連結部はφ8ステンレスパイプと、φ9肉厚0.5黄銅パイプの組み合わせですが、スタック用バーの連結部にはネジリの力も加わるのでφ10のステンレスパイプに、各々肉厚0.5のφ11とφ12の黄銅パイプを重ねて被せ(肉厚1mmの黄銅パイプが手元に無かったので)て 同様に処理しました。強度は、、、たぶん持ちそうです。
ブーム連結部

(3) 使用感
 アンテナの先端が電界強度計にぶつかりそうな狭い室内で測定するのは不適当と思い‘08.07.27 近所の七国山(町田市内 標高128.6m ロケはあまり良くない)へ行き、交信してきました。写真用三脚に取り付けた、1.8mのスタック用バーの両端に今回の12エレダブルバズーカと、かなり以前に作った12エレループ八木(ブーム長2.5m)をそれぞれ取り付けて小一時間ほど運用し、6局からレポートを戴いたところで、雷鳴が聞こえ始めて逃げ帰りました。

 下表は当局からの送信に対して戴いたR/Sレポートです。LOOPはループ八木、WBはダブルバズーカです。当局の受信レポートはLOOPとWBで差がありませんでした。
RSレポート

 特定のロケーションで一回のみの運用で結論を出すのは早すぎますが、12エレのループ八木とダブルバズーカについては、 “まあ まあ 同じ くらい?” なのでしょう。尚、この場所では過去に3つの自作アンテナを比較して、“エレメント数が一番少ないアンテナが送受信とも一番良かった” という結果だった事があります。

(4) その他
(a)ブーム長2.3mでスタック幅1.8mは、ハイキング兼での運用には、シングル使用にしたとしても 移動運用可能な山頂は限られます。重量もスタックの状態(スタック用バーも含む)で950kgになりました。 “作ってはみたものの” です。

(b)MMANAというソフトを使わせて戴いて、なんとか組み立てる事が出来ました。前記の様に、単純なダイポールということにして計算したのですが、エレメント配置を僅かに変更しただけでSWRも下がり、たぶん、それなりの性能も出ている様です。

(c)φ8,φ10のステンレスパイプはいずれも以前 ¥100店で購入した残りですが、この頃は原材料不足とやらで売っていません。薄肉(たぶんt0.4くらい)で強度はありませんが、軽くてそして安価でアンテナ用には良い材料なのですが。¥100店でれに近い材料としては、鉄パイプに緑色のプラスチックを被せた 園芸用支柱 がありますが、強度は少し小さい様です。

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続 430MHz用 2/3λヘンテナ(帯鋼で作ってみました)

(1) はじめに
「折り畳み出来るヘンテナ」の2回目のトライとして、エレメントを帯鋼で作ってみました。帯鋼はループ八木を作った残りで、0.4mm厚、幅4mmです。使用時

給電部は、BNC-Jコネクタに圧着端子(品番B-55)をつぶしたエレメント受けを、φ3及びφ4黄銅パイプを介して取り付けました。上下のエレメント受け間の寸法は1/6λ=113mmです。
tate給電部

2枚の帯鋼を両側からエレメント受けに差し込みました。帯鋼の長さは576mmで、433MHz付近のSWRが1.1になりました。 2/3λ+1/6λ=566mmですから 少し長めです。
圧着端子
写真の左側が今回、エレメント受け用にした圧着端子 (突き合わせ接続用)です。右側はループ八木に使った圧着端子 品番P-55(重ね合わせ接続用)で、直径は同じです。尚、圧着端子でなくとも、内径が3~4mmのパイプをつぶして代用出来そうです。

 下の写真の状態に折り畳む事が出来ます。給電部は、BNC-Jの中心ピンが回転するので、時計の2本の針のように回転して更に小さく折り畳み可能ですが、使用時には帯鋼を両側から差し込む事でバランスして、きちんとした位置になります。帯鋼は2分割してスライド式に伸縮可能に組み立てており、約1/2の長さに収納出来ます。
折り畳み


(2)性能比較
 約2.5mの距離で、簡易電界強度計の電流計の最大の振れを見る方法で、前回の記事のロッドアンテナで作った長方形の2/3ヘンテナと比較しました。

                  送信出力   50mW
ロッドアンテナで作った2/3ヘンテナ     6μA
      帯鋼で作った2/3ヘンテナ     5μA

 簡易電界強度計の精度の悪さを考えると非常に微妙ですが、ロッドアンテナで作ったヘンテナの方が僅かに良いのかも知れません。

(3)その他
 ロッドアンテナで作った2/3ヘンテナのSWRは1.0付近まで下がりましたが、今回の帯鋼で作ったものはSWR1.1以下には下がりませんでした。この原因は、本来の長方形のヘンテナとはかなり異なる形状になった為なのでしょうか?

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430MHz用 2/3λヘンテナ

(1) はじめに
 ネットで調べてみたところ、430MHz用のヘンテナは横長の長方形で、縦方向の寸法は1/6λ。横方向の寸法は 1/2λ、2/3λ、1λの3種類がありました。このうちの2/3λヘンテナが、手持ちの全長48cmのロッドアンテナに近い寸法でしたので、トライしてみました。

アンテナ各部の寸法は以下のように計算しました。
433MHzでの1λ=300/433*1000≒693mm
 縦方向長さは、1/6λ*0.98≒113mm
  横方向長さは、1λの場合は  1λ*0.98≒679mm
        2/3λの場合は  2/3λ*098≒453mm
        1/2λの場合は  1/2λ*0.98≒340mm

 早速作ってみましたが、SWR最低となる周波数が450MHzくらいになってしまいました。この原因は、エレメントの中心線の寸法でアンテナを作った事にあるようです。
エレメントで囲まれて出来る「長方形の窓」の寸法が上記の計算の寸法になるように作り直したところ、433MHz付近でSWRが1.0付近になりました。直接給電と、シュベルトップバランを介しての給電の両方行いましたが、SWRの値については影響はありませんでした伸張時
  使用したロッドアンテナは根元側(写真の左側)でφ7、写真右側の先端側でφ2で、5mmの直径の差があります。2本のロッドアンテナを平行に配置するために、ロッドアンテナの長さの中心付近(BNC-Jコネクタを取り付けた給電部)で計算値のとおりの縦方向寸法113mm、根元側で111mm、先端側では116mmになるようにしました。

給電部
 給電部は上の写真の様に2本のロッドアンテナ間にφ3及びφ4の黄銅パイプを渡し、中央部にBNC-Jコネクタを取り付けました。 

 ロッドアンテナを縮小すると、下の写真の様に120mm角くらいに畳めました。
短縮時


(2)性能比較
 出来上がったヘンテナをセロテープで竹棒のマストに固定し、簡易電界強度計の電流計が最大に振れた時の読みを記録しました。比較の為に以前作った3エレZLスペシャルも同時に測りました。簡易電界強度計とアンテナの距離は約2.5mです。

           送信出力  1W          50mW
3エレZLスペシャル       100μA超       9μA
2/3λヘンテナ          100μA       7μA

上記のように、ヘンテナは3エレZLと「同等か、又は少し劣るかも知れない」という結果でした。尚、直接給電と、シュベルトップバランを介しての給電の両方行いましたが、電流計の読みには影響はありませんでした。

(3) その他
(a)最初に「窓の寸法」を考えずに作ったものは450MHz付近でSWR1.0でしたが、433MHz付近でもSWR1.8程度と、かなり広帯域でした。細い針金で作ったのなら、寸法が多少違っていてもナントカなったのでしょう。その意味では作りやすいアンテナかも知れません。

(b)ヘンテナの利得を大きくする方法としては、スタックとするか、八木のように多エレメントとする手がある様です。また1λヘンテナとするのも良い様です。ただ、コンパクトに折り畳む為には、ロッドアンテナの使用は一長一短であり、又、縦方向のエレメントも、柔軟に曲がるワイヤロープに置き換えて畳める様にするなど、工夫の余地がありそうです。

(c)ヘンテナには前記の3種類以外に、例えばエレメントを丸めて無指向性にしたハットヘンテナとか、それ以外にも更にバリエーションが沢山ある様で、ちょっと楽しめるアンテナかも知れません。


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6エレHB9CV

(1) 始めに
 前回の記事のHB9CV 3エレの給電部をそのまま\100店の園芸用竹棒のブームに載せ替え、導波器エレメント4本はダブルバズーカのφ4アルミパイプのものを流用し、SWR計を見ながら間隔を決めました。エレメントの長さ、間隔は下図のとおりです。
6ereHB9CV寸法

 今回の6エレHB9CVと、全長が同じ程度の以前から作って使用している2種類とを簡易電界強度計で比較してみることにしました。 以下各アンテナの写真です。

(a)今回作った6エレHB9CV  反射器から放射器D4までの全長677mm
6-HB9CV1.jpg

(b)6エレダブルバズーカ 反射器から放射器D4までの全長710mm
6-WB1.jpg

(c)7エレループ八木 反射器から放射器D5までの全長747mm
7-roop1.jpg


(2)簡易電界強度計による性能比較
 簡易電界強度計の電流計の読みは下に示す通りでした。

          送信出力は50mWです。
(a)6エレHB9CV         13μA
(b)6エレダブルバズーカ    19μA
(c)7エレループ八木       15μA

 数値が出ると、妙に尤もらしくなってしまいますが、狭い室内の簡易電界強度計での測定の不確かさを考えると、 「3者は、ほぼ同程度の性能」 というのが妥当かと思います。尚、今回の測定も大体いつもどおりで、アンテナの給電部と簡易電界強度計との距離は約2.5mです。三脚に固定したデジカメを「望遠」にして簡易電界強度計の電流計を見ながらアンテナの方向、傾き、高さ、を変えて電流計の指示が最も大きくなったときの値を読みました。

(3)その他
(a)メーカーではアンテナを電波暗室の中に設置して 「正確な測定」 を行うらしいです。ところで、移動運用の際に、明らかに利得が小さいはずのアンテナの方が送受信共に良い事をたびたび経験しています。アンテナと、そのときの周囲の環境との相互作用で性能が決まるのでしょう。

(b)今回の6エレHB9CVは、エレメント長さはあまり考えずに、エレメント間隔の調整でSWRを1.1以下に下げたというだけです。HB9CV本来の性能を充分引き出してはいないという可能性はあると思います。

(c)今回は、導波器はセロテープで仮固定のままという手抜き製作でした。給電部だけは、木綿糸で竹棒のブームに縛り付けましたが、これは意外にしっかりしていて、木綿糸に瞬間接着剤をしみ込ませると、かなりの強度がありました。更にエポキシ接着剤で補強すれば充分に使用に耐えると思います。

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3エレHB9CV

(1) 始めに
ZLスペシャルHB9CVとを比較してみようと思い、参考資料を探したところ、1998年7月のCQ誌に4エレHB9CVの記事がありました。この記事を参考にして、ZLスペシャルと同程度のブーム長とするため、3エレとし、今回は分解・組立可能は考えないで、簡便に製作しました。
両方
左が以前作ったZLスペシャルで、反射器の後端から導波器までの全長は214mm。右が今回作ったHB9CVで、全長220mmです。
給電部

HB9CVの反射器は328mm長のφ4銅パイプ、輻射器は312長のφ4銅パイプ、フェーズラインはφ2銅棒です。フェーズラインと反射器及び輻射器との間隔は11mmで、プラスチック板のスペーサと、φ4銅パイプをつぶした銅板のショートバーで支持しています。導波器は302m長のφ4アルミパイプです。反射器と輻射器との間隔は86mm、輻射器と導波器との間隔は132mmです。(以上“間隔”は 全てパイプ又は丸棒の中心間距離です)給電用に輻射器の中央にBNC-Jコネクタを半田付けしました。

(2)性能比較
室内で簡易電界強度計を使用し、3種類のアンテナを比較しました。
                   出力1Wで     出力50mWで
           HB9CV     100μA超       9μA
        ZLスペシャル    100μA超       9μA
一つ前の記事の1.5λ八木      34μA        2μA

以上の結果から、HB9CVZLスペシャルの性能は多分同等であると言えそうです。エレメント長1.5λの八木については、かなり劣る結果で、少しがっかりでした。

(3)その他
(a)簡易電界強度計は、狭い室内の金属製のハシゴに縛り付けています。室内にはTVなどもあり、妙な反射もありそうです。又、部屋のドアを開閉すると電流計の指示が少し変わるなど、測定日が異なる場合の再現性は期待できませんが、同じ日に、アンテナを交換して同じように測定するなら、アンテナ間の比較は出来ると思います。尚、現在使用出来るハンディ機の出力切り替えは 50mW→1W→2.5W→5W です。もう少し細かい切り替えが出来ると良いのですが。

(b)アンテナの作りやすさという意味では、エレメントの形が単純なHB9CVの方が、ZLスペシャルに較べて有利です。ネットで検索してみると、430MHz用の6~8エレ程度のHB9CVはあるのに、ZLスペシャルは3~4エレ程度のものしか見あたらないのはこのためでしょうか?更にHB9CVにも8エレ以上の記事は見つかりませんでした。エレメント数が大きくなるに従って、「アンテナが小さくても強いぞ」という位相給電の強みが薄れるのかも知れません。

(c)スイスクワッドというのは、四角のループアンテナに位相給電を適用した様に見えますが、同様に三角や円形ループのアンテナでも同様に出来るのでしょうか?  ところで、スイスクワッドに導波器(多分 四角いループの)を追加して3エレとか4エレのスイスクワッド というのも見かけませんが、大きくなる割には利得が大きくならない とか 調整が難しくなる などがあるのでしょうか? 

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