(1)はじめに
英文のHPを検索していて、
slingshot antennaというのを見つけました。良く解りませんが、440MHzのレピーターにアクセスするために屋根裏にmag-moun t
antennaを設置していたが出力35Wでも、あまり良くなかった。2m用の
slingshot antennaの記事から440MHz用に寸法を読み直して作ったら、10Wで良好にアクセス出来た。といった様な事がたぶん書いてあるらしいです。 あまり見ない形のアンテナなので作ってみました。 (
slingshot=ぱちんこ? )
尚、このHPは、“Slingshot Antenna”のキーワードで検索すると見つかるはずです。
(2)作ってみましたが、
前記のHP記載の寸法を更に433MHzでの寸法に読み替えて、まずは作ってみました。
下図の様な放射器1エレメントのアンテナです。水平ダイポールの両端に、3/4λの
ホイップを立てた形です。差し渡し355mmの水平エレメントはアルミチャネルで作り、
長さ345mmの垂直エレメントは長さを調整出来るように、ロッドアンテナにしました。

垂直エレメントの長さを変えながらSWRを測定しましたが、周波数にかかわらず2.0以下には
下がりません。
(3)SWRは下がりました。

給電部付近
SWRを下げる為に、エレメントをあと2つ追加で作り、3エレのアンテナとしてみました。追加の
エレメントは水平エレメントをφ10のアルミパイプで、垂直エレメントは放射器エレメントと同様に
ロッドアンテナを使用しました。

この状態で、各垂直エレメントの長さを調整したところ、SWRは430~437MHzで
1.1以下になりました。
尚、ブームは、水平エレメントの中央部に取り付ける事が出来なかったので、絶縁材料
(\100店の園芸用竹棒)とし、水平エレメントの中心からズレた位置に取り付けました。
(4)性能評価
簡易電界強度計で、2/3λヘンテナと比較してみました。出力1W,距離2.5mです。
予想通り、垂直偏波、水平偏波の両方出ています。
電界強度計の読み
3エレ・Slingshot Antenna 70μA(垂直偏波) 40μA(水平偏波)
2/3λヘンテナ 85μA(垂直偏波) 4μA(水平偏波)
アンテナの大きさの割には良くはありまぜん。ただ、垂直偏波と水平偏波と両方出ていることが、実際の交信時に、有利に効くかも知れませんが。

対照アンテナ : 2/3λヘンテナ(大きさ455*123mm)
(5)2エレにしてみました。
導波器を取り除くと、アンテナの大きさとしては大分小さくなります。垂直エレメントの長さを
再調整したところ、SWRは431~436MHzで1.1以下になりました。

簡易電界強度計で測定してみたところ、下記の様に3エレよりも電波強度(垂直偏波)が
大きい結果となりました。
電界強度計の読み
2エレ・Slingshot Antenna 80μA(垂直偏波) 35μA(水平偏波)
3エレより良くはなりましたが、2/3λヘンテナよりも大きく、性能は劣ります。
(6)1エレにしてみました。 一応は決着
もとの1エレに戻し、給電部のリード線の半田付けをやり直したり、垂直エレメントの長さの
再度の微調整などして、SWRは1.7になりました。好もしくはありませんが、使えぬSWR値
では無いので、簡易電界強度計で測定してみたところ、下記の様になりました。
電界強度計の読み
1エレ・Slingshot Antenna 100μA(垂直偏波) 40μA(水平偏波)
まあ、これなら2/3λヘンテナよりも良いし、アンテナの大きさも同等です。とりあえず、
これで我慢する事にしました。
(7)寸法図です。
2エレの時は下の図からD1を除いただけで、ReとRaの間隔は変わりません。


一番最初の図では、寸法Aが345となっていますが、結局 上の表の状態でSWRがいちばん
小さくなりました。

作成した部品類(ロッドアンテナの垂直エレメントは折り曲げ機構で畳んでいます)
結局は、一番下の給電エレメントだけを使用する事になりました。 やれやれ
(4)その他
(a)今回も、どたばた、失敗記になってしまいました。まあ、何が楽しいんだか、、。
ともあれ、追加エレメントでかえって簡易電界強度計の読み取り値は小さく
なりました。今回の追加エレメントは給電エレメントと同形ですが、垂直
エレメントのみを追加など、まだ少し遊べるかも知れません。
(b)指向性が少しあり、今回追加エレメントを並べた方向(凹の紙面に垂直方向)
では無く、紙面に平行な( ←凹→)方向に向いている感じがあり、
エレメントを追加する方向が基本的に間違っていた可能性もあります。
(c)垂直エレメントに、同じ向き(垂直)の別のアルミパイプを近づけると、
SWRは下がります。水平エレメントに水平の金属パイプを近づけると
SWRは上がります。
(d)このアンテナからは、水平、垂直の両方の偏波が出ています。垂直偏波の
簡易電界強度計での測定値から、あまり高い性能は期待出来ませんが、
水平偏波の成分が実際の運用時に、有利に働くのかどうか? 実際の運用
で確認したいと思います。