(1)はじめに
移動用アンテナとしてループ八木を作っています。
全長約70cmの帯鋼エレメントを約1/2長にスライド収納する様に加工しています。
スライドの為に、φ4(肉厚0.5mm)の黄銅パイプを潰したスリーブを使用します。
このスリーブは、帯鋼エレメントを給電部やブームに取り付ける為にも使用します。
ループ八木の記事はこのブログのスタート直後の’08.05.05の記事(9エレループ八木)
が最初で以降、年に1~2回。 以下、帯鋼エレメント、スリーブの加工について
これら、過去の記事の図、写真を使用して、まとめて説明します。
(2)スリーブ
φ4(肉厚0.5mm)黄銅パイプを潰して作ります。帯鋼のスライド用に10~15mm長。
ブームへのエレメント取り付け用には20mm。給電部用には12~15mm長です。
工具類は下の写真 帯鋼の端材を\100店のヤスリで削った工具が唯一の手作りです。
φ4黄銅パイプは糸鋸で切断。切り口のバリは潰した後にヤスリで削っています

以下ブームへの固定用の20mm長のスリーブの工程(他のスリーブも同じです)

帯鋼エレメント用のスリーブはニッパでの潰しは行いません。
給電部用のスリーブのニッパでの潰しは中央ではなく、一端側から10mmほどの箇所。
ブーム等への半田付け等によるスリーブの酸化などは、鉄ブラシで擦ると楽に落ちます。
(3)帯鋼エレメント


(エレメント長/2)+(スリーブの長さ(10~15mm))を2分割した長さに切断した
各々の帯鋼の一端に、φ4黄銅パイプを潰した「スリーブ」を半田付けします。
スリーブに帯鋼を相互に挿通する事で、帯鋼エレメントをスライドさせます。
帯鋼は、190mmの大きめのニッパでパッチンと切っていますが、そろそろ切れ味と
握力が衰えたので、どちらかを買い換えたいと思っています。
帯鋼エレメントの工程
(a)帯鋼のスリーブとの半田付け及びスリーブと接触する箇所をサンドペーパーで磨く
(b)スリーブは予め帯鋼に通す。 スリーブと帯鋼に予備半田。
(c)帯鋼の上にスリーブを重ねて正確に位置決め、重し等で保持する。

(d)右手に半田ゴテ、左手に例えば細ヤスリ等を持ち(右利きの人の場合です)
(e)帯鋼に半田ゴテを当てて半田を溶かし、細ヤスリ等で押圧して半田ゴテを外す。
(f)半田が固まったら必要に応じ、ハミ出した余分な半田をナイフ、ヤスリ等で除去。
スリーブは帯鋼に対して正確に幅の中心に傾き無く半田付けの必要があります。
ズレているとエレメントのスライド伸縮が途中で引っ掛かります。その場合は半田を
溶かして、位置を僅か移動して再度。

帯鋼エレメントの両端は10~15mmほど、#400〜800の耐水サンドペーパーで磨き
表面の酸化皮膜を落とし、先端の切り口をヤスリで丸めます。どちらか一方の先端には
帯鋼がスリーブから抜け出さない様にストッパを設けます。上の写真のストッパはφ0.5の
銅線をひと巻きして半田付けしたものです。
帯鋼に錆が発生すると、スリーブに引っ掛かってスライドが出来なるので、防錆油を塗布
する必要があります。(CRCなど揮発性の大きい油は移動の都度または定期的に再塗布)
(4)スリーブをブームに取り付け
下の写真はφ3ステンレス棒のブームに、エレメント受けのスリーブを半田付けした例
です。スリーブに余った短い帯鋼を挿してブームと直交するか?等の位置確認して、
ブームがステンレスのあので、ステンレス用フラックスを使用します。

ブームがステンレス棒である必然性は全くありません。ブームの材料が例えばアルミなど
半田付け出来ない場合は、(木綿糸+瞬間接着剤)で固定後、エポキシ接着剤で補強で
取り付けた事もあります。
(5)給電部
給電部用の12〜15mm長のスリーブは10mmくらいのところをニッパで軽く潰します。

工程
(a)BNC—BRのネジ部にブームを半田付け
(b)ブームにスリーブを、BNC中心ピンにスリーブを半田付け。半田付けする双方に
予備半田しておき、スリーブを加熱して半田付け。リーブ内部に半田が侵入しない
様に、スリーブには厚紙等を挿入しておく。
半田付け時のスリーブは「紙」を持って支持しましたが、グリス等を塗布した帯鋼
をスリーブ挿入。帯鋼を適当な治具で支持した方が楽に出来そうです。

BNCの中心ピンは自由に回るので、スリーブの姿勢を保持して、エポキシ接着剤等で
固定する必要があります。
(6)蛇足
ずいぶん前から作り続けているのに、加工の内容は同じで進歩がありません。
「もっとマシな作り方 出来ないんかね?」 と思ったが、 思っただけで、
いまのところ 何も思いつかず。